鉄骨構造(S造)の施工経験記述例について書きたいと思います。
鉄骨構造とは
建築物や構造物を作る際に使用される一種の構造形式です。この方法では、鉄骨と呼ばれる鋼鉄製の柱や梁を使用して建築物の骨組みを構築します。鉄骨構造は、その堅牢さと柔軟性から、多くの建築物で使用されています。
鉄骨構造の利点には、以下のようなものがあります:
強度と耐久性
鋼鉄は非常に強靭であり、地震や風などの自然災害にも耐えることができます。
柔軟性
鉄骨構造は、建物の形状やデザインに柔軟に対応できます。
そして、大空間や特殊な形状の建築物を作るのに適しています。
施工の迅速さ
鉄骨は工場で事前に製造され、現場での組み立てが比較的迅速に行えます。
再利用可能性
鉄骨は再利用が可能です。
建物が不要になった場合や改築が必要な場合に再利用できます。
ただし、鉄骨構造にはいくつかの注意点もあります。その一つは、腐食に対する保護が必要であることです。
また、設計や施工には高度な技術が必要です。
これらの要素が適切でないと問題が生じる可能性があります。
鉄骨構造(S造)の施工経験記述例
共同住宅での品質管理
1. 計画段階の品質管理
- 品質目標の設定: 施工計画段階での品質目標を明確に設定し、その目標を達成するための具体的な方法や基準を記述します。
- 品質管理計画書: 品質管理計画書を作成し、それに基づいた施工が行われたことを具体的に記述します。計画書には、各工種ごとの品質基準や管理手順を詳細に盛り込みましょう。
2. 材料の品質管理
- 材料の選定と受け入れ検査: 使用する材料の選定基準や受け入れ時の検査手順を記述します。例えば、コンクリートの強度試験、鉄筋の引張試験、仕上材の色合い・質感の確認などを詳細に記載します。
- 材料保管と取り扱い: 材料の保管方法や現場での取り扱いについて記述します。例えば、コンクリートブロックの保管方法や、湿気や直射日光を避けるための対策などを具体的に説明します。
3. 施工中の品質管理
- 施工手順の遵守: 施工手順を遵守し、計画通りに進めたことを具体的に記述します。特に、コンクリート打設時の養生管理や、木造建築における防腐・防蟻処理の施工管理について詳述します。
- 中間検査と記録: 施工中に実施した中間検査の内容や、その結果に基づく是正措置を記述します。たとえば、スラブ配筋の検査、開口部の寸法確認、断熱材の施工状況確認などが挙げられます。
4. 仕上げ工程の品質管理
- 仕上げ材の品質管理: 仕上げ材(クロス、タイル、塗装など)の選定基準や、施工精度の確認手順を記述します。例えば、クロスの継ぎ目処理や、タイルの目地幅の均一性確認などが重要です。
- 色彩・デザインの管理: 共同住宅の外観や内装のデザイン、色彩に関する品質管理について記述します。特に、色違いの部材が使用されないよう、現場での確認方法や修正手順を説明します。
5. 環境管理と品質
- 作業環境の管理: 作業環境が品質に与える影響を考慮し、温度、湿度、清潔さを維持するための具体的な管理方法を記述します。例えば、コンクリートの打設温度管理や、湿度調整のための除湿機使用などを説明します。
- 騒音・振動の管理: 騒音や振動が施工品質に与える影響についても記述します。特に、精密な作業が必要な工程において、外部からの影響を最小限に抑えるための対策を具体的に述べます。
6. 法令・規格の遵守
- 建築基準法や各種規格の遵守: 建築基準法や関係法令、規格を遵守するための具体的な措置や管理体制を記述します。たとえば、耐震基準を満たすための施工管理や、消防設備の設置基準に関する管理方法について記載します。
- 検査機関との連携: 建築確認申請や中間検査、完了検査などの法的検査における対応内容を記述します。検査結果を反映して品質を改善した事例があれば、それを詳細に説明します。
7. 居住者視点での品質管理
- 防音・遮音対策: 共同住宅では防音・遮音性能が居住者の快適性に直結するため、壁や床の遮音性を確保するための施工管理方法を記述します。
- 断熱・気密性の管理: 断熱材の配置や窓・ドアの気密性の管理について、具体的な施工手順や確認方法を記述します。これにより、居住者の快適性を高める取り組みを示します。
8. 施工後の品質管理
- 竣工後の品質確認: 竣工後の検査(内覧会、竣工検査)の内容や、指摘事項の対応について具体的に記述します。特に、居住者からのフィードバックを反映した修正内容を説明します。
- アフターメンテナンス: 施工後のアフターメンテナンスや保証内容について、どのように品質を維持するかを記述します。たとえば、定期点検の実施や、保証期間内の対応方法などが重要です。
上記の点に注意して下記の内容を解いてみましょう。
共同住宅1
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | ○○ハイツ新築工事 |
ロ.工事場所 | 岡山県岡山市○○1-12-7 |
ハ.工事の内容 | 共同住宅、軽量鉄骨造、地上2階、建築面積395㎡、延べ面積770㎡、外壁コンクリートPCデザインパネル、内部床ビニルシート張り、壁及び天井PB下地ビニルクロス張り |
二.工期 | 平成18年5月~平成18年12月 |
ホ.あなたの立場 | 工事主任 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及びその管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
共同住宅の遮音性能に関する記述
重要品質 | 界壁部における遮音性能の確保 | |
① | 採りあげた理由 | 共同住宅での隣室との遮音性能について、施主より強い要望があり、界壁の遮音性能を十分に確保する必要があった。 |
② | 工種名 | 内装工事 |
管理項目 | プラスターボードの施工の精度 | |
管理項目を定めた理由 | 遮音性能を確保するため、ボード張りの下地材、断熱材(遮音材)の適正な施工が、重要な管理項目と考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 界壁部分のボード張りの工程ごとの検査を、下地組立、下地の固定状態、ボード張りの固定状態、二重張りの重ねの固定、天井スラブと床スラブとの隙間の塞ぎ状態を段階別に検査して、性能を確保した。 |
※『界壁部』建物内の隣接する住戸や部屋の間に存在する壁。
☆『遮音性能』音を遮断する能力を表す指標。
※『スラブ』建築や構造工学において平らで薄い構造部材を指します。
解答例2
共同住宅の基礎工事に関する記述
重要品質 | 深い布基礎の鉄筋のかぶり厚さの管理 | |
① | 採りあげた理由 | 布基礎の立ち上がりが高く、土に接する鉄筋のかぶり厚さの確保を重視することで、耐久性が確保できるため。 |
② | 工種名 | 鉄筋工事と型枠工事とコンクリート工事 |
管理項目 | かぶり厚さの確保 | |
管理項目を定めた理由 | 布基礎といっても地中梁に近く、SD345でD16がダブル配筋であり、かぶり厚さを60mm確保する必要があった。 | |
③ | どのように管理したか | 地中梁として、鉄筋のかぶり厚さをコンクリートスペーサーで確保し、かぶり60mmを点検計測し、コンクリートを打込みした。ベース筋は捨てコン天端から、かぶり厚さ70mmを確保した。 |
※『布基礎』基礎のコンクリートが建物の床スラブと連続して一体となっている状態。
☆『地中梁』建物の基礎構造の一部を形成する梁の一種。
※『かぶり厚さ』鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋を覆うコンクリートの厚さのことを指します。
鉄骨構造(S造)の施工経験記述例
共同住宅2
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | ○○○ハイツ新築工事 |
ロ.工事場所 | 東京都日野市□□□2-18-16 |
ハ.工事の内容 | 共同住宅、軽量鉄骨造、地上2階、建築面積325㎡、延べ面積638㎡、外部仕上げモルタル刷毛引きアクリルウレタン吹付、内部仕上げ床フローリング張り、壁PB下地ビニルクロス張り、天井化粧石膏ボード張り |
二.工期 | 平成17年4月~平成17年12月 |
ホ.あなたの立場 | 現場代理人 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及びその管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
共同住宅の基礎工事に関する記述
重要品質 | 基礎躯体の耐久性の確保 | |
① | 採りあげた理由 | 基礎躯体は構造耐力上重要であるので、鉄筋、型枠、コンクリート工事の施工精度を確保するため。 |
② | 工種名 | 鉄筋工事 |
管理項目 | 鉄筋のかぶり厚さ | |
管理項目を定めた理由 | 鉄筋のかぶり厚さの確保が一番重要と考え、かぶり厚さを確認する施工の管理を重点とした。 | |
③ | どのように管理したか | 鉄筋のかぶり厚さは、土に接する部分として最少6cm以上とし、基礎のベース筋は7cmのサイコロスペーサーを使用し、地中梁は腹筋に6cmとなるドーナッツをかませ、全数の基礎鉄筋を検査した。 |
※『躯体』建物の主要な構造部分を指します。
☆『サイコロスペーサー』サイコロのような形状をしたスペーサー。
※『ドーナツ』形状がドーナツ状になったスペーサー。
解答例2
共同住宅の遮音性能に関する記述
重要品質 | 間仕切り壁の遮音性の確保 | |
① | 採りあげた理由 | 1階と2階とも2世帯住居で使用されるので、間仕切り壁の遮音が問題となるので採りあげた。 |
② | 工種名 | 内装工事 |
管理項目 | プラスターボードの2重張りの施工管理 | |
管理項目を定めた理由 | プラスターボードを軽量鉄骨壁下地に2重に張る施工において、ボードの密着性と隙間のない施工が重要と考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 1階の構造用合板床下地と2階床のALCパネルに、間仕切り壁下地ランナーを密着固定させシールし、スタッドに石膏ボードを縦横2重張りの太鼓張りにして、ボード突き付け部は隙間をテーピングした。 |
※『構造用合板』木材の薄い薄板を接着して作られた板。
☆『スタッド』縦の木材や金属製の支柱。
※『ALC』オートクレーブ養生軽量気泡コンクリート。
鉄骨構造(S造)の施工経験記述例
倉庫兼事務所
1. 機能性を重視した品質管理
- 倉庫の耐荷重設計: 倉庫部分では、荷物や機械の重さに耐える床や構造の設計が重要です。床の耐荷重性能を確保するための具体的な品質管理手法や、荷重試験の実施状況を記述します。
- 断熱・遮熱対策: 倉庫の断熱・遮熱性能は保管物の品質維持に直結します。断熱材の選定や施工管理、天井や壁の断熱性能の確認手順について説明します。
2. 事務所スペースの快適性管理
- 室内環境の品質: 事務所スペースでは、快適な作業環境を提供するための品質管理が重要です。特に、空調設備の設置・調整、自然採光の確保、室内の遮音性などに注意して記述します。
- 内装仕上げの品質: 事務所の内装仕上げ(壁紙、床材、照明など)の品質管理について、使用材料の選定基準や施工精度の確認手順を詳細に記述します。
3. 構造の安全性管理
- 構造体の耐震性能: 倉庫兼事務所は、多くの物品や人が集まる場所であるため、耐震性能が重要です。耐震設計の基準に従った施工管理や、構造体の安全性を確保するための検査内容について説明します。
- 防火対策: 倉庫には大量の物品が保管されるため、防火対策が不可欠です。防火壁やスプリンクラーなどの防火設備の設置と、その品質管理手法について記述します。
4. 設備の品質管理
- 電気・通信設備の管理: 倉庫と事務所の両方で必要な電気設備や通信インフラの品質管理について、配線の施工精度や接続機器の検査手順を記述します。
- 給排水設備: 事務所部分の給排水設備の施工品質を確保するため、配管の施工管理や水圧試験の結果などを記述します。
5. 倉庫と事務所の統合管理
- 動線の確保と管理: 倉庫と事務所の動線を分離しつつ、効率的な動線を確保するための設計・施工管理について記述します。特に、物流効率を高めるための工夫や、搬入口の設置位置などを具体的に説明します。
- 防音・遮音対策: 倉庫と事務所が同一建物内にある場合、事務所スペースの遮音性能が重要です。特に、倉庫内の機械音や作業音が事務所に影響を与えないようにするための対策を記述します。
6. 法規制の遵守と品質管理
- 建築基準法や消防法の遵守: 倉庫兼事務所の用途に応じた法令(建築基準法、消防法、労働安全衛生法など)を遵守するための品質管理について記述します。特に、防火区画の設置や避難経路の確保について具体的に説明します。
- 各種申請と検査の対応: 建築確認申請や中間検査、完了検査などの法的手続きを適切に行い、その内容を品質管理に反映させたことを記述します。
7. 環境管理と長期的な品質維持
- エネルギー効率の向上: 倉庫と事務所のエネルギー効率を高めるための取り組み(断熱、日射遮蔽、照明の効率化など)について記述します。例えば、屋根や壁の断熱性を高める施工方法や、LED照明の導入などが挙げられます。
- 定期点検と保守計画: 竣工後の品質維持のために定期点検を計画し、その実施内容やメンテナンス手順について記述します。特に、倉庫部分の設備や構造の劣化に対する予防措置について詳述します。
8. コストと品質のバランス
- コスト管理と品質確保: 倉庫兼事務所では、コストを抑えながらも高い品質を維持することが求められます。具体的には、材料や施工方法の選定において、コストと品質のバランスをどのように取ったかを記述します。
上記の点に注意して下記の内容を解いてみましょう。
倉庫兼事務所
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | ○○化学工場大阪工場倉庫新築工事 |
ロ.工事場所 | 大阪府大津市□□町1-11-15 |
ハ.工事の内容 | 倉庫兼事務所、地下コンクリート造、地上鉄骨造、地下1階、地上 1 階、延べ面積955㎡、屋根カラー折板、外壁角波サイディング張り、床フェロコン壁、スレート板デザイン張り、天井木毛セメント板白セメント吹付け |
二.工期 | 平成18年2月~平成18年12月 |
ホ.あなたの立場 | 工事主任 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及びその管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
倉庫兼事務所のコンクリート工事に関する記述
重要品質 | コンクリートの仕上がり精度 | |
① | 採りあげた理由 | 外壁腰壁の打放しの美観を要求され、外壁サイディングとの平滑性と美観が要求されたため。 |
② | 工種名 | コンクリート工事 |
管理項目 | コンクリートの倒れ、はらみのない美観性の維持 | |
管理項目を定めた理由 | コンクリートの表面の美しさが要求され、倒れやはらみ、豆板、打継ぎがあってはならないため。 | |
③ | どのように管理したか | 型枠は水洗いを徹底し、片面は塗装合板の厚さ 15mmを用い、倒れはピアノ線で確認し、横端太間隔を360mmとして、流動化剤入りのコンクリートを用い、バイブレーター2 台で念入りに打設した。 |
※『打ち放しコンクリート』コンクリートを露出させた状態で使用する方法。
『コンクリートの流動化剤』流動性や可塑性を向上させるための添加剤。
※『平滑性』表面の滑らかさや凹凸のなさを示す特性のこと。
☆『ピアノ線』高強度の鋼線で、ピアノの弦や精密なばねなどに使用される材料です。
解答例2
倉庫兼事務所の塗装工事に関する記述
重要品質 | 塗装皮膜の管理 | |
① | 採りあげた理由 | 海岸に近く、鉄骨の錆を塗装皮膜で完全防止するため、塗装の材料と塗り厚さの管理が重要であるため。 |
② | 工種名 | 塗装工事 |
管理項目 | 塗装の塗膜厚さの管理 | |
管理項目を定めた理由 | 塗装の塗膜厚さにより、塩害の進行度を長期間防止することが可能なため、工程ごとの塗り厚さの管理が重要と考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 塗料は塩害対策のため、エポキシ系塗料を用い、下塗りは、200g/㎡、中塗りは、180g/㎡、上塗りは、200g/㎡の塗り厚となるように、2 液性の塗料を塗る面積で割り出して攪拌調合し塗装した。 |
※『塗装被膜』塗装工程において基材表面に形成される薄い塗膜のこと。
☆『塩害』塩分が建築物、インフラ、植物、土壌などに及ぼす有害な影響。
※『エポキシ』エポキシ基を含む樹脂や硬化剤。
☆『2液性』2つの異なる液体を混合して化学反応を起こすことで硬化させるタイプの材料。
鉄骨構造(S造)の施工経験記述例
障害者共同住宅用施設
1. バリアフリー設計の品質管理
- 段差のない設計: 障害者行動住宅用施設では、バリアフリー設計が不可欠です。床や出入り口の段差を完全になくすための施工方法や、その確認手順を記述します。
- 幅広の動線: 車椅子の使用を想定した廊下や出入口の幅を確保するための施工精度を確認し、動線の妨げとなる要素がないかを確認するプロセスを詳述します。
2. 利用者の安全性確保
- 手すり・スロープの設置: 階段や廊下における手すりや、スロープの設置・施工の品質管理を記述します。手すりの高さやスロープの勾配が適切か、実際の利用シナリオに基づいた検証が重要です。
- 床材の滑り止め処理: 床材の選定や施工時の滑り止め処理の品質管理について説明します。特に、濡れても滑りにくい床材を使用し、その性能を現場で確認する手順を記述します。
3. 感覚に配慮した設計
- 視覚障害者のための配慮: 点字ブロックや案内サインの設置について、その配置場所や品質を管理するプロセスを記述します。特に、視認性の高いサインの選定や、適切な場所への配置が重要です。
- 音響環境の管理: 聴覚障害者向けに、静音性の高い設備や、必要な音響設備の設置を行ったことを記述します。たとえば、防音材の使用や、聴覚補助システムの導入などを具体的に説明します。
4. 温度・湿度管理
- 適切な空調システム: 温度や湿度が適切に管理される空調システムの導入について、品質管理の観点から記述します。特に、利用者の健康に影響を与えないように温度のばらつきや湿度管理に配慮することが重要です。
- 通風・換気システムの管理: 換気や通風が適切に行われるように、窓や換気扇の設置位置や動作確認を行ったことを記述します。
5. アクセシビリティの確保
- エレベーター・リフトの設置: 車椅子や歩行補助器具を利用する方々のためのエレベーターやリフトの設置について、機器の選定から施工、試運転までの品質管理を記述します。
- 非常用設備: 災害時の避難を想定し、非常用設備(非常階段、避難器具、緊急放送設備など)の設置・品質管理についても言及します。
6. 法令・規格の遵守
- バリアフリー法の遵守: 障害者行動住宅用施設の設計・施工においては、バリアフリー法や関連する法令・規格を厳守する必要があります。それらの法令に基づく設計基準を遵守したことや、その確認方法を記述します。
- 防火・避難計画: 障害者が安全に避難できるようにするための防火設備の設置や避難経路の確保について、具体的な管理方法を説明します。
7. 居住者の快適性を重視した管理
- プライバシーの確保: 障害者が快適に過ごせるよう、プライバシーを確保するための設計・施工に関する品質管理について記述します。特に、プライバシーを考慮した窓の配置や間仕切りの設置などを説明します。
- カラースキームの管理: 視覚障害者や認知症患者のために、色使いに配慮した設計・施工が必要です。色彩設計における品質管理や、利用者の混乱を防ぐための配色選定について記述します。
8. 日常的な使用に耐える耐久性の確保
- 建材の耐久性: 高頻度の使用が想定されるため、使用する建材や設備の耐久性についての品質管理が重要です。特に、手すりやドアの耐久試験の実施状況や、メンテナンス計画について詳述します。
- 定期点検と保守: 施設が長期にわたって安全かつ快適に利用されるため、定期点検や保守作業の計画と実施状況を記述します。
上記の点に注意して下記の内容を解いてみましょう。
障害者共同住宅用施設
イ.工事名 | ○○福祉住宅新築工事 |
ロ.工事場所 | 神奈川県横須賀市□□2-5-38 |
ハ.工事の内容 | 障害者共同住宅用施設、軽量鉄骨造、地上 2 階、建築面積475㎡、延べ面積830㎡、外部セラミックパネル、内部床フローリング張り及びビニルシート張り、壁及び天井PB下地ビニルクロス張り |
二.工期 | 平成17年6月~平成17年11月 |
ホ.あなたの立場 | 現場代理人 |
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及びその管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
障害者共同住宅用施設の基礎コンクリートに関する記述
重要品質 | 基礎コンクリートの品質 | |
① | 採りあげた理由 | 基礎コンクリートは、建物の土台となり耐久性を確保するため、豆板やコールドジョイント等があってはならないのでとりあげた。 |
② | 工種名 | コンクリート工事 |
管理項目 | 基礎のコンクリートの品質 | |
管理項目を定めた理由 | 豆板やコールドジョイントを発生させないため、コンクリートの打設時の施工管理が重要と考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 基礎コンクリートの打設は、高周波バイブレーターを 2 台使用し、60cm間隔で5~15秒間念入りに加振させ密実に打設し、コールドジョイントが生じないように、生コン車と連絡を密にして連続して打ち込んだ。 |
※『高周波バイブレーター』高周波振動を利用してするバイブレーター。
☆『コールドジョイント』新しいコンクリートが古いコンクリートと接合する際に生じる接合部分。
解答例2
障害者共同住宅用施設の鉄筋工事に関する記述
重要品質 | 鉄筋の相互間のあきとかぶり厚さ | |
① | 採りあげた理由 | 鉄筋の相互間のあきとかぶり厚さを確保することは躯体の耐久性確保には重要なことであるため。 |
② | 工種名 | 鉄筋工事 |
管理項目 | 鉄筋相互間のあきとかぶり厚さ | |
管理項目を定めた理由 | 現場の組立て精度の維持は、定着長さ、重ね長さ、フックの余長のほか相互間のあきとかぶり厚さが、特にばらつきが多く重要と考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 鉄筋相互のあき寸法を鉄筋径の1.5倍以上、粗骨材最大寸法の1.25倍、かつ、25mmのうち、最大の寸法をあきとして、かぶり厚さは、ベースで、70mm、立ち上がり部で、50mmを計測確認して、全部の配筋を検査した。 |
※『鉄筋の定着長さ』適切な強度を確保するために必要な長さ。
※粗骨材(そこつざい)は、コンクリートやアスファルトなどの建設資材の一種。
鉄骨構造(S造)の施工経験記述例
事務所ビル
1. 設計図面と仕様書の徹底管理
- 設計図面の精査と適正化: 施工前に設計図面と仕様書を綿密に確認し、設計意図が現場で適切に反映されるように管理します。図面変更があった場合の管理体制や、設計変更に対応した施工の手順を記述します。
- 施工図の作成と確認: 現場で使用する施工図の精度を確保し、各専門業者が統一された理解のもとで作業を進められるように管理します。
2. 構造体の品質管理
- 鉄骨構造の精度管理: 鉄骨造事務所ビルでは、構造体の精度が建物全体の安全性と耐久性に直結します。鉄骨の製作・組み立てにおける精度管理、溶接品質の確認手順を具体的に記述します。
- 耐震性能の確保: 耐震設計に基づく施工の管理が重要です。特に、鉄骨の接合部や耐力壁の施工における品質管理を記述し、構造体の強度を確保するための試験や検査の実施内容を説明します。
3. 設備の品質管理
- 空調・電気設備の管理: 事務所ビルでは、空調や電気設備の品質が快適な作業環境の提供に不可欠です。空調設備の配置や配管、電気設備の配線の施工精度や機器の品質管理について記述します。
- 給排水・衛生設備: 給排水や衛生設備が適切に機能するための施工管理が重要です。特に、漏水防止のための配管施工、トイレやキッチンの衛生設備の配置と機能検査を記述します。
4. 仕上げ工程の品質管理
- 内装仕上げの品質: 事務所ビルでは、内装仕上げの品質が使用者の快適性に大きく影響します。壁紙、床材、天井の施工品質や、仕上げ材の色や質感の均一性を保つための管理手法を記述します。
- 外装仕上げの管理: 外壁材の選定と施工品質の管理、窓やドアの取付精度、シーリング材の適切な施工など、外装の品質管理についても言及します。
5. 作業環境と安全管理
- 現場の安全性確保: 施工現場の安全性を確保するための具体的な取り組みを記述します。足場の設置、墜落防止策、重機の使用に関する安全対策、作業員の安全教育の実施状況などが含まれます。
- 作業環境の整備: 作業環境を整えることで、施工品質の向上を図ります。例えば、現場の整理整頓や、材料・工具の保管方法、照明や換気の確保について詳述します。
6. 環境配慮と持続可能性
- 省エネ・エコ建材の導入: 事務所ビルでは、省エネ性能や環境への配慮が求められます。断熱材や高効率照明の使用、再生可能エネルギーの導入など、環境配慮の取り組みとその品質管理を記述します。
- ゴミ・廃棄物の管理: 建設廃棄物の適切な処理やリサイクルの取り組みについて、具体的な管理方法を記述します。特に、分別廃棄の徹底やリサイクル可能な材料の使用について説明します。
7. 法令遵守と規格対応
- 建築基準法や消防法の遵守: 事務所ビルの建設においては、建築基準法や消防法を遵守することが不可欠です。避難経路の確保や防火設備の設置、耐火構造の管理方法について記述します。
- 各種検査の対応: 中間検査や完了検査、その他の法定検査に適切に対応した内容を記述します。検査結果に基づく品質改善の実施状況や、指摘事項への対応も説明します。
8. 長期的な品質維持
- 保守計画の策定: 事務所ビルの長期的な品質を維持するため、保守計画の策定とその実施状況について記述します。定期点検や修繕計画、アフターメンテナンスの内容が含まれます。
- 施工後のフォローアップ: 竣工後のフォローアップとして、使用者からのフィードバックを元にした品質改善やメンテナンスの取り組みを記述します。
上記の点に注意して下記の内容を解いてみましょう。
事務所ビル
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | ○○事務所ビル新築工事 |
ロ.工事場所 | 新潟県三条市□町2-13-8 |
ハ.工事の内容 | 事務所ビル、鉄骨造、地上3階、建築面積278㎡、延べ面積815㎡、外壁ALCパネル張り、塗装仕上げ、内部床ビニルシート張り、壁及び天井PB下地ビニルクロス張り、一部金属パーテーション |
二.工期 | 平成17年3月~平成17年12月 |
ホ.あなたの立場 | 工事主任 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及びその管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
事務所ビルの鉄骨工事に関する記述
重要品質 | 鉄骨の接合部の品質管理 | |
① | 採りあげた理由 | 主要構造部である鉄骨の接合部の施工の確認は、建物の耐久性、耐震性能上、重要な品質であると考えた。 |
② | 工種名 | 鉄骨工事 |
管理項目 | トルシア高力ボルトの締め付け管理 | |
管理項目を定めた理由 | ボルトの本締め状態が不十分であると、建物に変形が生じ、耐震性能上にも影響を与える可能性があると考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 高力ボルトをトルクレンチを用いて一次締めを行った後、ボルトとナット、座金にマーキングを行い、本締め完了後にピンテールの破断を確認し、マーキングのずれを確認し、共回りがないことを確認した。 |
※『トルシア高力ボルト』構造物などの接合部に使用される高強度のボルト。
☆『トルクレンチ』特定のトルク(ねじり力)を与えるために使用される工具。
※『本締め』ボルトやナットを規定のトルクでしっかりと締め付けること。
解答例2
事務所ビルの防水工事に関する記述
重要品質 | 屋上防水の施工品質 | |
① | 採りあげた理由 | 屋上防水に施工不良があると、漏水等により重大な欠陥を起こすので、施工時に、特に施工のプロセスの管理を重要視した。 |
② | 工種名 | 防水工事 |
管理項目 | アスファルトルーフィングの張付け施工の管理 | |
管理項目を定めた理由 | ルーフィングの張付けが、適正に施工されていないと、防水層の剥離や浮き亀裂等により重大な欠陥を生じるため。 | |
③ | どのように管理したか | アスファルトルーフィングは千鳥張りとし、重ね長さが100mm以上となっているか、際からアスファルトが溢れ出る状態で張付けられているか、立ち上がりや配管回りは補強張りがされているかすべてを目視検査した。 |
※「千鳥張り」とは、十字方向に交互に引き伸ばして緊張させた状態。
※『漏水』水が管やタンク、設備などから不正に漏れ出ること。
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