改修工事の施工経験記述例

一級建築施工管理技士 改修工事の施工経験記述

改修工事①

パークシティー

 あなたが経験した建築工事のうちから1つを選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。

イ.工事名パークシティー○○○改修工事
ロ.工事場所○○県○○市○○区○○3-6-12
ハ.工事の内容共同住宅、RC造、地上7階、建築面積1,120㎡、延べ面積8,730㎡、外壁改修工事アクリルウレタン塗装、屋上改質アスファルト防水改修工事
二.工期平成18年11月~平成19年4月
ホ.あなたの立場工事主任

1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ①から③について具体的に記述しなさい。

①.重要品質として採りあげた理由。

②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及びその管理項目を定めた理由。

③.②の管理項目をどのように管理したか。

解答例1

重要品質屋上防水層の施工品質の管理
採りあげた理由屋上防水層の不具合は、雨漏りにつながるため、品質確保が重要となる。既設の防水層の除去もあり、漏水は絶対にあってはならない。
工種名防水工事
管理項目改質アスファルト露出防水の重ね部の施工
管理項目を定めた理由アスファルトルーフィングの重ね幅の不足や加熱のあぶり不足は、防水層の欠陥となる可能性が大きいので定めた。
どのように管理したかアスファルトルーフィング裏面の文字が消えるまで、念入りに加熱溶解させ、ルーフィングの重ね幅を平面部は100mm以上を確保し、溶融アスファルトが重ね部より溢れ出て、はみ出しているのを確認した。

※『露出防水』外部に露出する部分に防水処理を施すこと。

解答例2

重要品質外部目地と建具回りのシーリング材選定による品質管理
採りあげた理由シーリング材と被着体の相性が悪いと耐久性や接着性、追従性が著しく低下し不具合が発生するため。
工種名防水工事(シーリング工事)
管理項目建具回り、目地回り、笠木回りのシーリング打ち替え工事の施工管理
管理項目を定めた理由シーリング材と被着体の相性があり、材料選定を誤ると不具合につながるので、部位別の施工管理と材料の選定に重点を定めた。
どのように管理したか建具回りは2液性変性シリコーンとし、塗装面に被せる目地に対しては2成分系のポリウレタンとし、笠木部は伸縮調整目地が900mmピッチに設置されているので、ポリサルファイドで施工した。

※『ポリサルファイド』炭素原子と硫黄原子が多数含まれたポリマー構造を持つ化合物。

改修工事②

ビルディング
イ.工事名○○商事本社ビル改修工事
ロ.工事場所京都府日向市○○町△△6-1
ハ.工事の内容事務所ビル、主な改修工事:外壁吹付け980㎡、床ビニルシート張替え860㎡、天井張替え880㎡、外構工事一式新設、構造:RC造、階数:4階
二.工期平成19年12月~平成20年4月
ホ.あなたの立場工事主任

解答例1

重要品質内装工事の仕上げ品質
採りあげた理由当該建物は、事務所ビルであり、お客様や不特定多数の人が出入りするため、美しい内装の仕上がりが必要と考えた。
工種名内装工事
管理項目床ビニルシートの継手の熱溶接の施工管理
管理項目を定めた理由ビニルシートの溝のカットの精度を確保しないと、亀裂やはがれ・浮きを生じることになるので重点管理要点とした。
どのように管理したか継手の溝切りは、シート張付け後接着剤が硬化した後に、電動切断機でシートの厚みの2/3で調節しカットし、左右から圧力をかけ溶接部温度を、160℃~200℃で溶接し、余盛りが硬化冷却後平滑に削った。

※『継手』部材同士の結合を強化し、安定性や耐久性を向上させる役割を果たします。

解答例2

重要品質コンクリート工事
採りあげた理由正面の駐車場の土間コンクリート工事は新規に発注されたが、冬場にあたる施工で、打設後のコンクリート養生が重要と考えた。
工種名コンクリート工事
管理項目初期養生管理
管理項目を定めた理由2月という時期で、最も気温が下がり凍結の恐れがあるので、打込み後の養生の方法が重要と考えた。
どのように管理したか外気と遮断できる屋根付き採暖施設を、幅4mx長さ8mx高さ最高部で70cmを2基で、電気温風による初期採暖温度20℃で2日間養生して、土間コンクリート3mx6mを2面打設して、養生管理した。

※『採暖施設』建物内の温度を適切に管理し、快適に過ごすための設備やシステム。

改修工事③

商店
イ.工事名○○商店改修工事
ロ.工事場所神奈川県秦野市○○1-6-8
ハ.工事の内容店舗、構造:S造、規模:2階、耐震補強一式、柱間にH型鋼による補強、建築面積980㎡、屋根小屋組み鉄骨補強及び天井仕上げ980㎡、各所PB張り替え及びEP仕上げ
二.工期平成18年4月~平成18年9月
ホ.あなたの立場現場代理人

解答例1

重要品質地震せん断力、水平力に耐える耐震補強
採りあげた理由発注者から震度6強に対しても、損傷の少ない耐震補強を要望されたため、全社的体制で地震せん断力、水平力に耐える施工を目標とした。
工種名鉄骨工事
管理項目ガセットプレートの現場溶接の品質管理と、高力ボルトの締め付け管理
管理項目を定めた理由鉄骨のガセットプレートはすべて現場溶接となるので、溶接の品質管理に重点をおいた。
どのように管理したか既存鉄骨にせん断補強用としてリブプレート厚み12mm、タイプレート厚み9mmを溶接し、ガセットプレート厚12mmを低水素系溶接棒で溶接して、全数を超音波探傷検査で溶接不良が無いことを確認した。

※『地震せん断力』地震が発生した際に建物や構造物にかかる水平方向の力のこと。

※『ガセットプレート』鋼構造物の補強や接合に使用される部品。

解答例2

重要品質2階床ALCパネル撤去後のFデッキによるスラブコンクリートの管理
採りあげた理由ALCパネルの撤去後のスラブ下は設備配管が多数有り、Fデッキプレートのスパンや配置が複雑になったため。
工種名鉄骨工事(Fデッキスラブ工事)
管理項目設備配管、ダクトを取付け変更しないFデッキプレートの設置
管理項目を定めた理由地震せん断力の2階床梁と1階柱の耐震補強工事で、Fデッキプレートの向きと取り付けが複雑になったため。
どのように管理したか設備配管やダクトを触らず、Fデッキを設置し、隙間はプレートで溶接してスラブ型枠とし、Fデッキの向きは型枠代わりとして考え、スラブ配筋後フロアーコンセントを立ち上げコンクリートを打設した。

※『Fデッキ』平らな鋼板で耐荷重性が高く、耐摩耗性があります。

改修工事④

クリニック
イ.工事名○○クリニック改修工事
ロ.工事場所東京都○○区○○市2-3-5
ハ.工事の内容医院併用住宅、RC造、地上3階、外壁アクリル樹脂エナメル仕上げ改修580㎡、屋上及びバルコニーウレタン塗膜防水全面改修190㎡、ビニル床シート、フローリング張り替え320㎡、壁及び天井ビニルクロス張り替え780㎡
二.工期平成17年8月~平成17年11月
ホ.あなたの立場工事主任

解答例1

重要品質床材の施工精度の向上
採りあげた理由ビニル床シートは、コンクリートのひび割れによる劣化、中性化防止及び止水の役割があり躯体劣化防止で重要と考えた。
工種名内装工事
管理項目ビニル床シートの継目の施工精度の向上
管理項目を定めた理由ビニル床シートの継目部分の施工品質が悪いと、剥がれや浮き上がりの要因となるから。
どのように管理したかビニル床シートの接合は熱溶接とし、溝深さは厚みの2/3程度のVカットとし、180℃~200℃の温度で両方から加圧して溶接し、冷却後余盛りを平滑に削った。

※『中性化』コンクリート中のアルカリ性成分が減少し、酸性になる現象。

※『熱溶接』シートの接合において一般的な方法。

解答例2

重要品質屋上バルコニーウレタン塗膜防水の施工品質
採りあげた理由劣化したコンクリートの継目やひび割れは、雨漏りの原因となり、躯体への影響が発生する恐れがあるため。
工種名防水工事
管理項目コンクリートのひび割れ箇所の調査と施工方法
管理項目を定めた理由既存コンクリートの下地状況は経年劣化により、ひび割れが進行している箇所が随所にみられたため、補修が必要と考えた。
どのように管理したかコンクリートのひび割れが、クラックスケールで0.3mm以上あった箇所はU型にはつり、底でシリコンシーリングした上で、表面をエポキシ樹脂モルタルで補修し幅100mmの補強布を用いてウレタン補強塗りした。

※『躯体(くたい)』建築物や構造物の骨組みや基本的な枠組みのこと。

※『クラックスケール』コンクリート表面に生じたクラックの程度や大きさを評価するための目盛り。

改修工事の施工経験記述例関連のページ
・業種別 重点対策問題

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令和6年度は「鉄筋コンクリート(RC)造の合理化」でした。これまでの流れで考えると、令和7年度は「〇〇造の〇〇〇」。この章では鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨(S)造での品質管理・合理化・環境管理それぞれ6パターンでの設問と解答例を考えてみました。ヤマを張ることはオススメ致しませんが、対策は必要です。

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