環境管理の施工経験記述を解く

一級建築施工管理技士 施工経験記述の環境管理
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建築工事における環境管理とは

建築工事における環境管理は、建設プロセス中に環境への影響を最小限に抑え、持続可能性を考慮した取り組みを実施することを指します。環境管理には以下のような側面が含まれます:

環境への影響評価

建築プロジェクトが環境に与える影響を評価し、それに基づいて環境への潜在的なリスクや影響を理解します。これには、土地利用の変化、生態系への影響、排出物や廃棄物の処理などが含まれます。

持続可能な設計

環境への配慮を反映した持続可能な設計を採用します。例えば、省エネルギーや再生可能エネルギーの活用、自然光や自然換気の最大化、環境に配慮した建材の選定などが含まれます。

廃棄物管理

建設中および建設後の廃棄物の適切な管理を行います。リサイクルやリユースを促進し、廃棄物の最小化を図ります。また、廃棄物の処理が環境に与える影響を最小限に抑えるための適切な手順を確立します。

環境への配慮

建設現場での環境への配慮を確保します。これには、騒音や振動の管理、土壌や水質の保護、生態系への配慮などが含まれます。

法規制との遵守

環境に関する法律や規制に遵守し、建築プロジェクトが適切に規制された基準を満たしていることを確認します。これには、建設中および建設後の環境評価や許認可の取得が含まれます。


環境管理は、建築プロジェクトが社会や自然環境に与える影響を最小限に抑え、持続可能な開発を推進するための重要な取り組みです。

チェックポイント
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チェックポイント1

建設副産物対策

①「発生抑制」
②「再使用」
③「再生利用」
④「熱回収」
⑤「適正処分」

について理解する。

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チェックポイント2

地球環境負荷低減の取組みについて、3つ記述できるようにする。


環境管理の出題としては、建設現場で行うべきものとして、「建設副産物対策」と「地球環境負荷低減の取組み」に関する出題が多く、この2つについて自分の経験に基づいて記述できるようになっておく必要があります。

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「建設副産物対策」の記述上のポイント

建設副産物

循環型社会形成推進基本法では、建設副産物対策の優先順位を下記の5段階としています。

①リデュース:発生抑制

ごみを出さない、または発生量を抑制すること。

②リユース:再使用

使用後多少の手入れを行って、再び使用すること。

③リサイクル:再生利用

金属くずを溶かして再製品化するなど、一度形を変えて再生すること。

④サーマルリサイクル:熱回収

熱エネルギーを回収し、発電や冷暖房に利用すること。

⑤適正処分

不法投棄などをさせず、法律で定められた処理場で適正に処分すること。

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過去の出題の特徴

対策が指定される場合、5つの対策が例示され、その中から選択する場合、例示がなく自分で考えて記述する場合があります。その対策をあげた上で、「扱った資材名又は建設副産物」、「留意した事項または実施した内容」、「結果とあなたの評価」などの記述が求められます。
(H17,H21,H24,H27)

「建設副産物対策」で要求される記述

試験対策としては、

「取り組んだ対策」
「扱った資材名または建設副産物」
「実施した内容」
「結果とあなたの評価」

の4点について、2例ほどずつまとめておく必要があります。


それでは、「建設副産物対策」の記述例を下記に示しますので、参考にして自分なりの解答をまとめて準備しておきましょう。

①「発生抑制」
②「再使用」
③「再生利用」
④「熱回収」
⑤「適正処分」

それぞれについて、「資材名等」、「実施した内容」、「結果とあなたの評価」をまとめます。

①「発生抑制」

[ 資材名等 ] ◆型枠廃材

[ 実施した内容 ]
スラブの型枠として、合板型枠工法に代えてデッキプレート型枠工法を採用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
型枠廃材の発生を抑制できたとともに、解体作業もなく、工期短縮にも有効であった。


[ 資材名等 ] ◆木くず

[ 実施した内容 ]

・現場製作の建具枠及び額縁を、工場生産品に変更した。
・木造和室の造作材について、現場加工材からプレカット材に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
現場からの木くず等の発生を抑制できたとともに、工期が1フロアあたり、5日間短縮できた。


[ 資材名等 ] ◆石こうボード端材

[ 実施した内容 ]
壁の石こうボードを使用場所の天井高さ 2,350mm に合わせて、プレカットして現場に搬入した。

[ 結果とあなたの評価 ]
石こうボード端材の発生が抑制できたともに、現場作業の軽減により工期短縮にも有効であった。


[ 資材名等 ] ◆軽量鉄骨及び石こうボードの端材

[ 実施した内容 ]
在来工法の天井を、システム天井に変更した。

[ 結果とあなたの評価 ]
軽量鉄骨や石こうボードの端材の発生がなくなったとともに、現場加工の軽減により工期短縮にも有効
であった。

②「再使用」

[ 資材名等 ] ◆建設発生土

[ 実施した内容 ]
根切り工事で発生した良質な建設発生土については、社内で情報を共有し、他現場において埋戻し土として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
建設副産物を有効に再使用できたとともに、処分費用を大幅に縮減することができた。


[ 資材名等 ] ◆タイルカーペット

[ 実施した内容 ]
解体・撤去時に発生したタイルカーペットを新設の石張り床の養生材として再使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
ごみとなるものを有効に再使用できたとともに、仕上げ材の傷を防ぐことができた。また、養生材のコスト削減にも有効であった。

③「再生利用」

[ 資材名等 ] ◆コンクリートがら

[ 実施した内容 ]

・根切り時に出てきた既存基礎のコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

・場所打ちコンクリート杭の杭頭処理で発生したコンクリートがらを、現場にてクラッシャー処理を行い仮設道路の路盤材として再利用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物となるコンクリートがらの再利用ができたとともに、仮設道路の材料費も縮減できた。


[ 資材名等 ] ◆石こうボード

[ 実施した内容 ]
専用のコンテナを設置することにより分別回収を行い、再生工場に引取りを依頼した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生工場にて再生することができたとともに、整然とした作業環境が構築され、作業能率も向上した。

[ 資材名等 ]◆木材

[ 実施した内容 ]

・造作材のかんなくず・おがくず類は、リサイクル工場に引き取らせ、パーティクルボードの原料とした。

・解体工事で松杭が大量に発生したので、チップ化工場に引取りを依頼し、再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物の再生利用ができたとともに、処分にかかる費用も縮減できた。


[ 資材名等 ] ◆アスファルトコンクリートがら

[ 実施した内容 ]
駐車場の解体時に発生したアスファルト・コンクリートがらを、アスファルトプラントに持ち込み、再生アスファルトとして再生利用させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
産業廃棄物を新設駐車場の舗装に再生利用できたとともに、工事費を大幅に縮減することができた。


[ 資材名等 ] ◆木材、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]
木材、金属くず、石こうボードくずについては分別回収を行い、それぞれのリサイクル工場に持ち込ん
だ。

[ 結果とあなたの評価 ]
多くの資材を分別回収することにより再生利用に貢献でき、その結果、処理費用を大幅に削減できた。


< 再生品の採用 >
[ 資材名等 ] ◆再生砕石

[ 実施した内容 ]

・基礎や土間下の地業に再生砕石を使用した。

・場内仮設道路の舗装に再生砕石を使用した。

[ 結果とあなたの評価 ]
再生品を使用することができたとともに、リサイクル活動に貢献でき、コスト縮減にも有効であった。

④「熱回収」

[ 資材名等 ] ◆木材

[ 実施した内容 ]
腐食したり、釘の処理が多く、再生利用が困難な木材については、サーマルリサイクル工場に持ち込ん
だ。

[ 結果とあなたの評価 ]
本来、廃棄物である木材から熱回収ができたとともに、産業廃棄物も削減でき、処分費用を縮減することができた。


[ 資材名等 ] ◆塩化ビニル材

[ 実施した内容 ]
塩化ビニル 廃材を分別回収し、熱処理工場へ持ち込んだ。

[ 結果とあなたの評価 ]
発生する熱エネルギーを回収でき、エネルギーの循環に貢献できた。建設副産物を有効活用するのは、事業者の責務であり、今後も取り組んでいきたい。


⑤「適正処分」

[ 資材名等 ] ◆木くず、金属くず、石こうボードくず

[ 実施した内容 ]

・許可を得た収集運搬業者及び最終処分業者であることを、許可証により確認し、委託契約の上、委託した。

・最終処分場までのルートを確認するとともに、マニフェスト伝票にて最終処分場で処分されたことを確認した。

[ 結果とあなたの評価 ]

・不法投棄もなく、適正に処分することができた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。

・マニフェスト伝票の確認により、不法投棄のないことを確認できた。不法投棄を防止することは、排出事業者の責務であり、しっかり管理していきたい。


[ 資材名等 ] ◆廃アスベスト

[ 実施した内容 ]
特別管理産業廃棄物管理責任者を設置し、処理計画の立案から行政への報告等の排出から最終処分に至
るまで全般に渡って管理させた。

[ 結果とあなたの評価 ]
管理責任者に全般に渡って管理させたことにより、スムーズに最終処分まで確実に管理することができた。排出事業者(元請業者)として、今後も処分責任が曖昧とならないような管理を行いたい。以上、参考にして、自分が経験した建築工事に関して、指導的立場に立った工事に対してまとめておきましょう。2項目程度の記述が求められるケースが多いので、ケースに応じて、最低3項目程度は必要かと思います。

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掲載内容

1.過去19年の出題傾向

年度ごとに詳細をまとめました。これをじっくりと分析することで、これまでの流れが見えてくるはずです。さらに、その流れを読み解けば、次年度にどのようなテーマが出題されやすいのかを予測する手がかりになるかもしれません。

2.今回の見直しで第二次検定の経験記述はどう変わったか?

今回の具体的な変更点や、これにどう対応していけば良いのかについて、この参考書で詳しく解説をしています。また、参考書の効果的な活用方法についても分かりやすく説明をしています。

3.平成18年度~令和6年度の本試験解答例

試験対策として過去問を理解することは基本です。そして、昨年度に第二次検定の見直しが実施されましたがそれでも過去問を捨てることは出来ません。繰り返し見ていると、どういうところが設問として出やすいのか見えてくると思います。

4.構造種別 経験記述例

新築工事において特に重要な、主要構造の3種類(鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造)に関する施工例を豊富に取り揃えています。さらに「おまけ」として、新築工事だけでなく改修工事に関する施工例も追加しました。

5.業種別 重点対策問題

受検者には、専門工事業の方が多い現実を踏まえ、この参考書では全17業種にわたる解答例を準備しました。そして、実際の施工現場を想定した具体的で実践的な内容により、各業種ごとの特徴を踏まえた解答を分かりやすく解説しています。

6.一問一答式

試験対策に役立つ解答の「引き出し」として、知識を効率よく整理できる一問一答形式の内容を加えました。そして、この形式では、試験で問われやすい内容を厳選し、要点を簡潔にまとめています。忙しい受検者の方でも、スキマ時間を活用して効率的に学べる工夫を盛り込んでいます。

7.建設副産物・環境問題への対策

建設副産物の適正な処理や環境問題への対応は、建設業界における重要な責任であり、未来に向けた永遠の課題と言えます。そして、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した建設活動や、最新の法規制を考慮した実例も収録。これにより、試験対策だけでなく、実務での活用にもつながる内容となっています。

8.経験記述の良い書き方・良くない書き方

同じ内容でも、記述の仕方一つで採点者に与える印象が大きく変わります。さらにこの章では、採点者の視点を意識した「良い記述例」と「良くない記述例」を比較しながら、効果的な表現方法を学ぶことができます。

9.施工経験記述はこの3つ!

施工経験記述の出題傾向を分析した結果、対策すべき課題は3つに絞ることができます。そして、これら3つのテーマごとに、出題ごとの解答の注意点や重要な記述のポイントをまとめています。この章を読み込むことで、施工経験記述の対策は万全です。

10.令和7年度予想問題 鉄骨(S)造・鉄筋コンクリート(RC)造

令和6年度は「鉄筋コンクリート(RC)造の合理化」でした。これまでの流れで考えると、令和7年度は「〇〇造の〇〇〇」。この章では鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨(S)造での品質管理・合理化・環境管理それぞれ6パターンでの設問と解答例を考えてみました。ヤマを張ることはオススメ致しません、しかし対策は必要です。

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過去問データからの施工経験記述対策

  1. 過去19年の出題傾向
  2. 見直しで施工経験記述はどう変わった?
  3. 施工経験記述 過去18年分の本試験解答例
  4. 構造種別 施工経験記述例
  5. 業種別 重点対策問題
  6. 施工経験記述 解答参考例
  7. 応用問題が出ても怖くない!一問一答式で対策
  8. 建設副産物・環境問題への対策から経験記述を考える
  9. 施工経験記述の良い書き方・良くない書き方
  10. 独学でも出来る!施工経験記述はこの3つ!
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最新の施工経験記述対策メニュー

1.鉄骨造パターン

2.鉄筋コンクリート造パターン

二次試験へ向けて有効活用致しましょう♪

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