工事概要 鉄筋コンクリート造（RC）造
問１－１【施工品質を確保するための管理と合理化】
工事概要の施工において、あなたが建設現場における品質管理の技術上の管理を求められる立場として、施工品質を確保しながら、合理的かつ効率的に工事を進めるために有効と考える品質管理の取り組みを3つ提案し、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
ただし、3つの提案のうち②および③はすべて異なる内容を記述するものとする。
なお、次の記述は不可とする。
- 工事概要に示す工事において施工上必要としない作業に関する内容
- 設計変更を前提とした品質管理に関する内容
- 工期短縮のみに着目した内容
- 施工品質の向上に関係しない内容
- 設備工事に関する内容
記述内容
① 工種名又は作業名等
② あなたが考える有効な品質管理の取り組みと、それが施工品質の向上につながる理由
③ ②の実施に当たって確保すべき品質基準と、そのための品質管理策における施工上の留意事項
解答例は下段↓↓↓にあります。
出題の狙いと対策
本問は、RC造の施工における品質管理の重要性を理解し、現場での具体的な管理手法を考察することを目的としている。施工の各工程において、品質を確保しながら合理的な施工を進めるためには、事前の計画、適切な管理、現場作業の効率化が求められる。本設問では、施工品質の向上を目的として、現場で実践できる品質管理策を3つ挙げ、それぞれの有効性や留意点について具体的に記述する力を問うている。
《求められる対策》
・RC造の施工において品質管理が求められる工種や作業を正しく理解し、適切な管理策を考える
・品質確保のために、実務的に有効な現場対策を提案する
・施工品質を確保しつつ、施工効率も向上させるための具体的な手法を述べる
対策のポイント
1. 具体的な工種・作業を挙げる
品質管理が特に重要となる工種（例：型枠工事、鉄筋工事、コンクリート打設工事など）を明確にし、それぞれの管理策を提示する。
2. 品質管理の観点から適切な低減策を考える
以下のようなポイントを踏まえた対策を考えると、より具体的な解答が可能。
- 型枠工事 → 精度確保のための点検・確認方法（ゆがみ防止、剥離防止、締め付け管理など）
- 鉄筋工事 → かぶり厚さや配筋ピッチの確保（スリーブ周りの補強、配筋検査、施工図との整合性確認など）
- コンクリート打設 → 締固め・打設方法の管理（ジャンカ防止、打設計画の事前調整、温度管理など）
3. 実施時の留意点を明記する
管理策を実施する際に注意すべき点（例：検査方法、工程管理、職人への指導・教育、記録管理）を明確にすることで、より現場で活用しやすい解答になる。
まとめ
本問では、RC造における施工品質管理の具体的な手法を考えることが求められている。品質管理は単なる検査ではなく、施工の各段階で適切な管理策を講じることが重要である。そのため、施工品質の向上には以下の3点が重要となる。
- 適切な管理が求められる工種・作業を明確にする
- 施工現場で実践できる具体的な管理策を考える
- 品質確保と施工効率の向上を両立させるための留意点を述べる
このような視点で回答を作成することで、実務的にも有効な品質管理策を提案できる内容となる。
問１－２【RC造における施工品質管理とトラブル防止】
建設現場では、施工品質の確保が重要な課題の一つである。特に、RC造の施工では、適切な管理を行わなければコンクリート強度の低下や構造的欠陥につながる恐れがある。
工事概要の施工管理業務に限らず、あなたのこれまでの経験を踏まえ、建設工事における施工品質の確保に関する問題について、次の①および②について具体的に記述しなさい。
ただし、問1-1の②と同じ内容の記述は不可とする。
記述内容
本問では、RC造の施工品質管理における課題を分析し、それに対する具体的な改善策を考察することが求められている。施工現場では、施工不良の発生原因を把握し、それを未然に防ぐことが重要となる。そのため、解答を作成する際には、以下の3つのポイントを意識することが大切。
① これまでの建設現場における施工工程や管理業務の中で、施工品質の低下を招いた原因と、それが品質に影響を及ぼした理由
② ①の対策として、あなたが有効と考える施工品質向上のための組織としての取組や工夫
解答例は下段↓↓↓にあります。
出題の狙いと対策
《出題の狙い》
本問は、RC造の施工における品質管理の課題を分析し、それに対する改善策を考察する力を問うもの。施工現場では、計画通りに工事を進めたとしても、品質管理の不備による手戻りや施工ミスの発生が大きな課題となる。そのため、過去の施工経験を踏まえ、品質低下の要因を明確にし、それに対する具体的な改善策を提示することが求められる。
《求められる対策》
・RC造の施工品質を確保する上でどのような問題が発生するのかを整理する
・品質低下につながる原因を掘り下げ、なぜその問題が発生するのかを分析する
・施工管理者として、品質を維持・向上させるために具体的な対策や工夫を提案する
対策のポイント
1. 施工品質が低下した要因を明確にする
以下のような要因を具体的に挙げると、説得力のある記述が可能。
- 型枠工事における精度不良（型枠の浮きや変形による仕上がり不良）
- 鉄筋工事における配筋ミス（かぶり厚不足、スリーブ周りの補強不足）
- コンクリート打設における施工不良（ジャンカ・ひび割れの発生、締固め不足）
- 施工管理の不備による品質チェック不足（検査の見落とし、工程管理の不徹底）
2. 品質管理を向上させる具体的な改善策を提示する
各問題に対して、施工管理者としてどのように対応すべきかを考える。例えば：
- 型枠工事の改善策 → 型枠の事前検査強化、適切な締め付け管理
- 鉄筋工事の改善策 → 配筋検査のチェックリスト導入、施工図と現場の照合強化
- コンクリート打設の改善策 → 適切な締固め指示、温度管理と養生の徹底
- 施工管理全般の改善策 → 検査体制の強化、施工記録の充実、職人への教育
3. 施工管理者としての工夫を示す
具体的な工夫として、以下のような点を挙げると、より実務的な回答になる。
- 品質管理のためのチェックリスト導入
- 職人への事前教育と技術指導の強化
- ICT技術（BIM・AI）を活用した品質管理の効率化
まとめ
- 品質低下の要因を具体的に挙げ、原因を明確にする
- 施工管理者として実施可能な改善策を提案する
- 施工品質の向上と合理的な施工管理を両立させる工夫を示す
このような視点を持つことで、より実践的で説得力のある解答が作成できる。
問１－１ 解答例（3例）
解答例１：（コンクリート打設工事の品質管理）
① 工種名又は作業名等
コンクリート打設工事
② あなたが考える有効な品質管理の取り組みと、それが施工品質の向上につながる理由
① コンクリート配合計画の適正管理
設計基準強度を確保するため、水セメント比の厳守や適切な骨材の選定を行い、配合計画を適正に管理する。これにより、施工後の強度不足を防ぎ、長期的な耐久性を向上させる。
② 打設時の適切な締固め管理
ジャンカや豆板の発生を防ぐため、適正なバイブレーター操作を行い、過振動・不足振動を防ぐ。また、適切な打設計画を立て、連続的な施工を行うことで品質を安定させる。
③ 養生管理の徹底
コンクリートの急激な乾燥や温度変化を防ぐため、適切な散水養生・シート養生を実施し、温度変化によるひび割れを最小限に抑える。特に冬期施工では、凍結防止対策を講じ、設計強度を確保する。
③ ②の実施に当たって確保すべき品質基準と、そのための品質管理策における施工上の留意事項
- 確保すべき品質基準
- 設計強度（例：24N/mm² 以上）を確保する
- 設計図書のスランプ値・空気量・水セメント比を遵守
- 打設後の適切な養生を行い、長期的な耐久性を確保する
- 施工上の留意事項
- 配合計画を事前に見直し、現場条件に適したコンクリートを使用する
- バイブレーターの使用方法を熟知し、適正な締固めを実施する
- 温度管理を徹底し、外的要因による品質劣化を防ぐ
解答例２：（配筋工事の品質管理）
① 工種名又は作業名等
配筋工事
② あなたが考える有効な品質管理の取り組みと、それが施工品質の向上につながる理由
① 鉄筋のかぶり厚さ・定着長の確保
鉄筋の耐久性と構造性能を確保するため、設計図書に基づいた適切なかぶり厚さを確保し、定着長を管理する。特に、スペーサーの適切な配置により、打設時のズレを防ぐことで品質を向上させる。
② 配筋間隔・組立精度の管理
コンクリートの充填性を確保し、ひび割れや強度不足を防ぐため、鉄筋の間隔や組立精度を厳密に管理する。特に、ダブル配筋や梁部の配筋では、適切な離隔を確保し、施工誤差を最小限に抑える。
③ 配筋検査の徹底と記録管理
施工品質を維持するため、社内検査・監理者検査を確実に実施し、記録を残す。特に、主要構造部（柱・梁・壁）の配筋状況は写真撮影を行い、後から検証可能な状態を確保する。
③ ②の実施に当たって確保すべき品質基準と、そのための品質管理策における施工上の留意事項
- 確保すべき品質基準
- かぶり厚さを設計値（例：40mm 以上）を確保
- 鉄筋間隔を設計通り（例：D13@200mm 以内）に保持
- 配筋状況の社内検査・監理者検査を確実に実施し、記録を残す
- 施工上の留意事項
- スペーサーの適切な配置でかぶり厚さを確保する
- 配筋図と現場状況を照合し、組立誤差を防ぐ
- 配筋検査の記録を写真付きで残し、トレーサビリティを確保する
解答例３：（型枠工事の品質管理）
① 工種名又は作業名等
型枠工事
② あなたが考える有効な品質管理の取り組みと、それが施工品質の向上につながる理由
① 型枠組立て精度の向上
型枠の寸法精度を確保するため、事前にプレカットした資材を使用し、施工時の調整を最小限に抑える。また、レーザー測定を活用し、施工誤差を極力減少させる。
② 型枠支保工の強度管理
打設時の変形や破損を防ぐため、支保工の強度計算を事前に行い、適切な間隔で配置する。過去の事故事例を参考に、安全余裕を持たせた設計を行うことで、施工中の事故防止と品質向上を両立する。
③ 脱型時のコンクリート表面管理
型枠を撤去する際にコンクリート表面を損傷させないため、適正な養生期間を確保し、打設後の強度発現を確認した上で脱型を行う。また、離型剤の適切な塗布により、型枠の付着トラブルを防ぐ。
③ ②の実施に当たって確保すべき品質基準と、そのための品質管理策における施工上の留意事項
- 確保すべき品質基準
- 型枠の寸法誤差を±5mm 以内に抑える
- 支保工の設計荷重を遵守し、安全率を確保する
- コンクリートの表面品質（例：ジャンカなし、平滑度確保）を管理する
- 施工上の留意事項
- 施工前にプレカット資材の寸法確認を徹底する
- 支保工の配置計画を慎重に行い、施工時の変形を防ぐ
- 適切な養生期間を確保し、コンクリート表面の品質を確保する
問１－2 解答例（3例）
解答例 ①：コンクリート打設時の品質管理の徹底
(1) 施工品質が低下した要因
RC造のコンクリート打設では、締固め不足や施工手順の不備が原因でジャンカやひび割れが発生することがある。特に、打設時の適切な振動締固めが行われなかったり、コンクリートの供給遅れが発生すると、施工不良につながる。
(2) 改善策と工夫
- 適切な振動締固めの実施 → バイブレーターの適切な使用、施工者の熟練度向上
- コンクリート打設計画の見直し → 打設時間の計画調整、材料供給のスムーズ化
- 品質検査の強化 → 打設中の管理体制の強化、コンクリート試験の徹底
(3) 施工品質向上のための留意点
- 打設時の天候条件や温度管理を考慮し、適切な施工計画を立てる
- 打設後の養生管理を徹底し、ひび割れ防止策を講じる
解答例 ②：鉄筋工事における配筋精度の向上
(1) 施工品質が低下した要因
RC造の鉄筋工事では、配筋ミスやかぶり厚の確保不足が発生することがある。特に、現場の施工環境や施工者の技術によっては、設計図通りの正確な配筋が行われない場合がある。また、施工後に検査を行っても手直しが難しく、品質低下のリスクが高い。
(2) 改善策と工夫
- 配筋チェックの強化 → 施工前の確認作業を徹底し、施工ミスを未然に防ぐ
- BIM（Building Information Modeling）を活用した施工管理 → 施工前に3Dモデルを活用し、配筋計画を視覚的に確認
- 検査体制の強化 → 鉄筋径・間隔の管理、スリーブ周りの補強確認の徹底
(3) 施工品質向上のための留意点
- 配筋ミスを防ぐため、事前に施工図との整合性を確認
- 配筋後の第三者チェックを実施し、ダブルチェック体制を構築する
解答例 ③：型枠工事における精度管理の向上
(1) 施工品質が低下した要因
型枠工事では、組立時のズレや不陸が発生すると、仕上がり精度が低下する。特に、型枠の締め付けが不十分だと、コンクリート打設時に漏れや変形が発生し、施工不良につながる。また、型枠の設置精度が悪いと、仕上がり寸法の誤差が発生する。
(2) 改善策と工夫
- 型枠の事前確認を徹底 → 組立前に部材の状態をチェックし、精度を確保
- 適切な締め付け管理 → 型枠の浮きやズレを防ぐため、しっかりと固定
- 品質検査の強化 → コンクリート打設前に、レベル・垂直度・締結状況を確認
(3) 施工品質向上のための留意点
- 型枠の取り外し時期を適切に管理し、コンクリートの強度発現を確保する
- 型枠の再利用時には、部材の劣化や損傷を事前に確認する
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掲載内容
１．過去１９年の出題傾向
年度ごとに詳細をまとめました。これをじっくりと分析することで、これまでの流れが見えてくるはずです。さらに、その流れを読み解けば、次年度にどのようなテーマが出題されやすいのかを予測する手がかりになるかもしれません。
２．今回の見直しで第二次検定の経験記述はどう変わったか？
具体的な変更点や、これにどう対応していけば良いのかについて、この参考書で詳しく解説をしています。また、参考書の効果的な活用方法についても分かりやすく説明をしています。
３．平成１８年度～令和６年度の本試験解答例
試験対策として、過去問を理解することは基本です。昨年度に第二次検定の見直しが実施されましたがそれでも過去問を捨てることは出来ません。繰り返し見ていると、どういうところが設問として出やすいのか見えてくると思います。
４．構造種別 経験記述例
新築工事において特に重要な、主要構造の3種類（鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造）に関する施工例を豊富に取り揃えています。さらに「おまけ」として、新築工事だけでなく改修工事に関する施工例も追加しました。
５．業種別 重点対策問題
受検者には、専門工事業の方が多い現実を踏まえ、この参考書では全17業種にわたる解答例を準備しました。実際の施工現場を想定した具体的で実践的な内容により、各業種ごとの特徴を踏まえた解答を分かりやすく解説しています。
６．一問一答式
試験対策に役立つ解答の「引き出し」として、知識を効率よく整理できる一問一答形式の内容を加えました。この形式では、試験で問われやすい内容を厳選し、要点を簡潔にまとめています。忙しい受検者の方でも、スキマ時間を活用して効率的に学べる工夫を盛り込んでいます。
７．建設副産物・環境問題への対策
建設副産物の適正な処理や環境問題への対応は、建設業界における重要な責任であり、未来に向けた永遠の課題と言えます。SDGs（持続可能な開発目標）を意識した建設活動や、最新の法規制を考慮した実例も収録。これにより、試験対策だけでなく、実務での活用にもつながる内容となっています。
８．経験記述の良い書き方・良くない書き方
同じ内容でも、記述の仕方一つで採点者に与える印象が大きく変わります。この章では、採点者の視点を意識した「良い記述例」と「良くない記述例」を比較しながら、効果的な表現方法を学ぶことができます。
９．施工経験記述はこの３つ！
施工経験記述の出題傾向を分析した結果、対策すべき課題は3つに絞ることができます。これら3つのテーマごとに、出題ごとの解答の注意点や重要な記述のポイントをまとめています。この章を読み込むことで、施工経験記述の対策は万全です。
１０．令和７年度予想問題 鉄骨（S）造・鉄筋コンクリート（RC）造
令和６年度は「鉄筋コンクリート（RC）造の合理化」でした。これまでの流れで考えると、令和７年度は「〇〇造の〇〇〇」。この章では鉄筋コンクリート（RC）造、鉄骨（S）造での品質管理・合理化・環境管理それぞれ６パターンでの設問と解答例を考えてみました。ヤマを張ることはオススメ致しませんが、対策は必要です。
過去問データからの施工経験記述対策
- 過去１９年の出題傾向
- 見直しで施工経験記述はどう変わった？
- 施工経験記述 過去１８年分の本試験解答例
- 構造種別 施工経験記述例
- 業種別 重点対策問題
- 施工経験記述 解答参考例
- 応用問題が出ても怖くない！一問一答式で対策
- 建設副産物・環境問題への対策から経験記述を考える
- 施工経験記述の良い書き方・良くない書き方
- 独学でも出来る！施工経験記述はこの３つ！
最新の施工経験記述対策メニュー
１．鉄骨造パターン
２．鉄筋コンクリート造パターン
二次試験へ向けて有効活用致しましょう♪
