鉄骨鉄筋コンクリートとは
建築構造物の一種であり、鉄骨構造と鉄筋コンクリート構造を組み合わせたものです。鉄骨の強度と柔軟性と、コンクリートの耐久性と保温性を兼ね備えています。
この構造方式では、鉄骨を建物の骨組みとして使用し、その中に鉄筋を配置し、コンクリートを流し込んで固めます。このようにすることで、鉄骨の強度と柔軟性によって建物の構造を支え、同時に鉄筋コンクリートの耐久性と保温性を得ることができます。
鉄骨鉄筋コンクリート構造の利点には、次のようなものがあります:
強度と耐久性
鉄骨と鉄筋コンクリートの組み合わせにより、建物は地震や風などの自然災害に強くなります。
柔軟性とデザインの自由度
鉄骨とコンクリートの組み合わせにより、建物の形状やデザインに柔軟に対応できます。
省エネルギー性
鉄骨鉄筋コンクリート構造は、コンクリートの保温性能により、冷暖房のエネルギー消費を削減する効果があります。
耐火性
コンクリートは非常に耐火性が高いため、火災時に建物の安全性を確保します。
鉄骨鉄筋コンクリート構造は、高層ビルや大規模な建築物、工場などの建築に広く使用されています。
事務所ビル
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | ○○ビル新築工事 |
ロ.工事場所 | ○○県○○市○○区○○町205 |
ハ.工事の内容 | 事務所ビル、SRC造、地上7階、建築面積288㎡、延べ面積1,875㎡、外壁50角磁器タイル張り、東面コンクリート打放し仕上げ、室内床ビニルタイル張り、壁及び天井PB下地ビニルクロス張り |
二.工期 | 平成18年1月~平成19年3月 |
ホ.あなたの立場 | 工事主任 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及び管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
重要品質 | 型枠の精度管理 | |
① | 採りあげた理由 | コンクリートの打放し仕上げの美観を発注者が特に要求し、技術力を駆使して、コンクリート打放し仕上げを完成する必要があった。 |
② | 工種名 | 型枠工事、コンクリート工事 |
管理項目 | 型枠の精度とコンクリートの打設管理 | |
管理項目を定めた理由 | 型枠の精度保持とコンクリートの打設の方法の両方が必要であったため、特に型枠のはらみや段差をなくすことに重点をおいた。 | |
③ | どのように管理したか | 型枠精度がそのまま打放しコンクリートの仕上げ面となるため、型枠の建て入れ精度を、下げ振りで±2mm以内に、全体のふくらみを2mm程度にピアノ線を張り調整して建て込みした。 |
※『はらみ』型枠とコンクリートの間にできる隙間や隔たりのこと。
解答例2
重要品質 | 高力ボルト接合の管理 | |
① | 採りあげた理由 | 高力ボルトは構造上重要な接合部であり、施工の良し悪しで構造耐力、耐震性に影響するため。 |
② | 工種名 | 鉄骨工事 |
管理項目 | 高力ボルトの締め付け | |
管理項目を定めた理由 | 高力ボルトの締め付け力によっては、高力ボルトを用いた意味がなくなり、締め付け力の精度管理が重要と考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 一次締め付けはトルクレンチを用いて、15,000N・cmで実施し、マーキング後はピンテールが切れるまで電動インパクトレンチで締め付けた。その後にマーキングのズレを目視チェックした。 |
※『高力ボルト』構造物などの接合部に使用される高強度のボルト。
※『トルクレンチ』特定のトルク(ねじり力)を与えるために使用される工具。
病院
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | ○○循環器病院新築工事 |
ロ.工事場所 | 広島県広島市○○町7番地2号 |
ハ.工事の内容 | 病院、SRC造、地上6階、延べ面積8,860㎡、外壁2丁掛けタイル張り、室内床ビニルシート張り、壁PB下地ビニルクロス張り、天井ロックウール吸音板張り |
二.工期 | 平成18年7月~平成19年11月 |
ホ.あなたの立場 | 工事主任 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及び管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
重要品質 | 耐火間仕切りの耐火性能の確保 | |
① | 採りあげた理由 | 乾式耐火間仕切り壁の周辺処理は、煙や火の粉を隣室へ流れるのを一定時間防ぐために重要な役割である。 |
② | 工種名 | 内装工事 |
管理項目 | コンクリートとの取り合い部分の周辺処理の管理 | |
管理項目を定めた理由 | 床、柱、壁との取り合い部分に隙間が生じると煙や火の粉が流出し、延焼を早める危険があるため、隙間を徹底的に処理する必要があった。 | |
③ | どのように管理したか | コンクリート取り合い部の隙間に、ロックフェルトを取付け、ボード張り完了後に周辺処理部分に、夜暗くなってから光を当てて、光の漏れている箇所が無いこと、線香の煙の動きがないことを確認した。 |
※『耐火性能』材料が火災や高温などの極端な条件に耐える能力。
※『ロックフェルト』ロックウールとも呼ばれる岩綿として知られる断熱材の一種。
解答例2
重要品質 | 密実なコンクリート躯体の構築 | |
① | 採りあげた理由 | 鉄骨鉄筋コンクリート造のコンクリート打設では、フランジ部分の下端等に、空洞や下端の鉄筋周りにも巣ができやすいため締固めが重要 |
② | 工種名 | コンクリート工事 |
管理項目 | コンクリート打設時の振動機による締固め作業の管理 | |
管理項目を定めた理由 | コンクリートの仕上がり精度の向上には、バイブレーター2台、突付き竹、叩きの締固め作業の徹底管理が絶対条件であると考えた。 | |
③ | どのように管理したか | コンクリート輸送管1系統に、バイブレーター2台、締固め要員7人を配置し、加振時間を10秒/箇所、振動ピッチ50cmを堅持し、目視と突付きで確認しながら打ち込みを継続するように管理した。 |
※『フランジ』鉄骨の断面形状の端部分。
※『バイブレーター』コンクリートの打設や配筋などの工程で使用される機械。
共同住宅1
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | フィレーユ○○新築工事 |
ロ.工事場所 | 宮崎県日南市○町2―5 |
ハ.工事の内容 | 共同住宅、SRC造、地上10階、建築面積325㎡、延べ面積2,885㎡、外部仕上げ:二丁掛けタイル張り、内部仕上げ床:フローリング張り、壁及び天井:PB下地の上ビニルクロス張り |
二.工期 | 平成16年1月~平成17年7月 |
ホ.あなたの立場 | 現場代理人 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及び管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
重要品質 | 鉄筋の加工と配筋組立て | |
① | 採りあげた理由 | 耐久性と耐火性能を確保するためには、鉄筋の加工と組み立てが正確で、かつ、かぶり厚さが重要であるため。 |
② | 工種名 | 鉄筋工事 |
管理項目 | 柱、梁、スラブ等の配筋状況の管理 | |
管理項目を定めた理由 | 鉄筋の配筋とかぶり厚さを適正に管理することは、耐久性、耐火性の確保には絶対に必要と考えたため。 | |
③ | どのように管理したか | 全階にわたり、鉄筋の定着、重ね継手、フック、かぶり厚さをチェックシートを用いて計測確認しながら記録する徹底管理を、検査専門のスタッフを増員して実施した。 |
※『重ね継手』鉄筋の接合方法の一つ。
解答例2
重要品質 | 鉄骨鉄筋コンクリートの鉄筋の配筋 | |
① | 採りあげた理由 | 建物に靭性をもたせるために、鉄骨と鉄筋との適切なかぶり厚さの確保が重要と考え、鉄筋の配置を重視した。 |
② | 工種名 | 鉄骨工事 |
管理項目 | 鉄筋の正確な配置による鉄骨の孔あけ | |
管理項目を定めた理由 | X軸とY軸の鉄筋の上下により、柱と梁の接合部の鉄筋の配置が重要と考え、工場での鉄筋の孔あけと配置を徹底管理した。 | |
③ | どのように管理したか | 鉄骨の施工図の段階で、鉄筋の配置と孔あけの位置を鉄骨に正確に書き 込み工場製作の原寸検査で、配置と孔あけの位置を照合確認し、製品検査でも孔位置を確認し、現場組立ての際、鉄筋工に指示確認を徹底した。 |
※『施工図』施工工程や建設手順を示すために作成されたもの。
共同住宅2
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | メゾンド○○新築工事 |
ロ.工事場所 | 千葉県船橋市○○2-5 |
ハ.工事の内容 | 共同住宅、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上8階、建築面積388㎡、延べ面積2,920㎡、外壁磁器タイル張り、内部床ビニルシート、壁及び天井PB下地ビニルクロス張り |
二.工期 | 平成18年6月~平成19年10月 |
ホ.あなたの立場 | 工事主任 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及び管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
重要品質 | 鉄筋の継手 | |
① | 採りあげた理由 | 鉄筋ガス圧接は、施工不良が生じやすく、隠蔽部分となり後の躯体の耐久性に大きく影響するため |
② | 工種名 | 鉄筋工事 |
管理項目 | 鉄筋ガス圧接の目視による合否の判定 | |
管理項目を定めた理由 | 鉄筋ガス圧接は、施工不良が生じやすいので第一段階は、目視による検査確認が可能なので、目視検査を重要としてとりあげた。 | |
③ | どのように管理したか | 鉄筋ガス圧接のふくらみは鉄筋径の1.4倍、ガス圧接の長さは1.1倍以上で、なだらかなふくらみ形状で、ひび割れが発生していないものを目視検査で合格とし、不形状なものを抜き取り引張り検査した。 |
※「ガス圧接」圧力を利用して接合材料を固定する手法の一つ。
解答例2
重要品質 | コンクリートの管理 | |
① | 採りあげた理由 | 躯体の耐久性、耐火性はコンクリートの品質にあると考え、コンクリートの試験練りから調合管理の徹底を重要と考えた。 |
② | 工種名 | コンクリート工事 |
管理項目 | コンクリートのスランプ、空気量、塩分試験の確認 | |
管理項目を定めた理由 | コンクリートの受け入れ検査を重要視して、試験練りで調合したコンクリートが、持ち込まれるかどうかが重要と考えた。 | |
③ | どのように管理したか | 普通コンクリートを、150㎥ごとに任意の生コン車からコンクリートを採取して、空気量が4.5%±1%、スランプを18cm±2.5cm、塩化物イオン換算で0.3kg/㎥以下を受け入れ検査で確認した。 |
※『スランプ』コンクリートの流動性や塑性を表す指標の一つ。
共同住宅兼事務所ビル
あなたが経験した建築工事のうちから1つ選び、工事概要を記入した上で、品質の良い建物を提供するために行った品質管理について、次の問いに答えなさい。
イ.工事名 | ○○若林ビル新築工事 |
ロ.工事場所 | 宮城県仙台市若林区○○3-110 |
ハ.工事の内容 | 共同住宅兼事務所ビル、SRC造、地下1階、地上10階、建築面積615㎡、延べ面積5,870㎡、外部50角タイル、2丁掛けタイル張り、室内床フローリング、事務所床ビニルシート張り、壁及び天井PB下地ビニルクロス張り |
二.工期 | 平成16年4月~平成18年3月 |
ホ.あなたの立場 | 工現場代理人 |
1.工事概要であげた工事について、あなたが設計図書、施工図、施工要領書などから確認し、管理した重要品質(建物の重要な性能)を2つあげ、それぞれ次の①から③について具体的に記述しなさい。
①.重要品質として採りあげた理由。
②.あなたが採りあげた重要品質に関する品質管理活動を行うにあたって、定めた管理項目とそれにかかる工事名、及び管理項目を定めた理由。
③.②の管理項目をどのように管理したか。
解答例1
重要品質 | 床のレベル精度 | |
① | 採りあげた理由 | 床は建物を使用する全ての人に触れられる部分であり、その仕上げの程度により、建物の品質の評価を受けることにつながると考えた。 |
② | 工種名 | 左官工事 |
管理項目 | 事務所使用床のコンクリートのレベルと平滑性の管理 | |
管理項目を定めた理由 | 特に事務所側の床はビニルシートの直張りのため、コンクリート直打ちのレベル管理が重要であった。 | |
③ | どのように管理したか | 床フラットデッキにコンクリート天端を決めるポイントを、2m間隔で金物を溶接し天端マークをつけ、スラブ強度が出るまでフラットデッキの下側にパイプサポートでデッキのたわみを防止する処置を実施した。 |
※『平滑性』表面の平らさや滑らかさを表す指標。
※『天端マーク』コンクリート構造物や鉄骨構造物の上端を示すために使用されるマーク。
解答例2
重要品質 | 雨漏り及び漏水の絶無 | |
① | 採りあげた理由 | 雨水の浸入は建物の劣化を進行させるだけでなく、施工不良が技術力を疑われ、住民の苦情の影響が大きいと考えた。 |
② | 工種名 | 防水工事 |
管理項目 | バルコニー側の立ち上がり建具からの漏水防止 | |
管理項目を定めた理由 | バルコニーの立ち上がり段差が少なく、コンクリートの一体打ちの精度と防水層の立ち上がりと、シーリングの処置の施工管理が要求された。 | |
③ | どのように管理したか | バルコニーは打継がなく一体打ちとし、立ち上がりを80mmとり建具枠のトロ詰めは防水モルタルを使用し、一度内部でシーリングした上でウレタン塗膜防水を巻き上げて防水し、水張り試験をして確認した。 |
※『水張り試験』構造物の防水性や漏水の有無を確認するための試験。
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